| 中国などからの安価な輸入品に押され、日本国内では苦戦を強いられている 自転車業界だが、欧州市場での事業展開は活発化している。欧州は自転車の 利用率が高く、高品質・高価格志向のため、市場参入を通して産業再生への 足掛かりを探っている。 <高価格が魅力の欧州市場> 2月29日〜3月2日の3日間、オランダのアムステルダム・ライ国際展示会議場で 国内ディーラー向けの自転車ショー「Fiets VAK 2004」が開催され、2003年に引き 続き日本の自転車メーカーが出展した。 日本メーカーが欧州進出を狙うのは、1つにはオランダ、ドイツを中心とした欧州の 自転車市場では、日本製自転車の輸送費、EUへの輸入関税(15%)を折り込んでも 利益が見込めることにある。 オランダ車両工業会(RAI)によると、オランダの市場規模は年間120万台程度だが、 平均購入単価が552ユーロという魅力的な市場である。また、全売上高の約10%を 1台当たり900ユーロ以上の製品が占め、この層の平均購入価格は1,374ユーロと 高額である。 <消費者意識の高さが目を引く> それだけにユーザーの品質に対する要求も高く、低価格の製品を除いて自転車の フレームはメーカーが10年間保証している。また、高品位塗装、乗車ポジションの 調整機能、サスペンションなどの機能の充実も目を引く。 自転車ショーでは、前後サスペンション制御機能、オートマチック変速、マルチ・ ディスプレー、すべての消費電力をカバーする高性能の発電機を搭載した自転車が、 約2,600ユーロの価格を付けて展示されている。 また、オランダでは、自転車の盗難対策として、カギの部分に電子チップを装着し、 警察署に配備してあるスキャナーで所有者を特定するシステムが普及しつつある (2001年からオランダ国内で販売される自転車の約35%に装着されている)。そのため、 チップ付きのカギなど、日本にない独特な部品の装着も必要となる。 <欧州の自転車文化を日本へ> オランダの自転車利用率は27%と高く(日本は15%)、日常生活に欠かせない 身近な交通手段になっている。日本のメーカーが欧州市場への参入を図るもう1つの 理由は、ユーザーの高品質志向と合わせ、こうしたライフスタイルを日本で普及させる 可能性を模索することにある。 日本市場は中国などからの低価格の輸入車が大量に流入し、2003年の国内消費 台数約1,043万台のうち国内生産は232万台(前年比約20%減)と毎年減少を続けて いる。輸入車の中には、自転車日本工業規格(JIS)の品質を満たしていないものも 散見される。自転車事故の発生はユーザーの身体生命に重大な影響を及ぼす。 そうした事故が低品質に起因する場合、自転車そのものの信頼を損なう可能性がある。 そのため、こうしたユーザー意識の高い市場にあえて挑戦し、そこで培った技術力、 商品力を日本市場再生の起爆剤として利用し、新たなトレンドを創出できるのではないか という期待がある。 2004年9月にはオランダの店頭に日本製の自転車が登場する予定である。さらに今後、 日本メーカーは年間の市場規模も欧州で一番大きいドイツ市場(464万台)への参入も 視野に入れている。 (山田玄一) |