日本貿易振興会(ジェトロ)

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             自動車リサイクル工場(Bettray社)視察報告

1998年にドイツ廃車規制が施行され、認定の結果5000社あった自動車解体業者は、1300社程に減少した。BMW、メルセデスといった高級車を中心に、ドイツ車の多くは、廃車とならず東欧などの諸外国へ流出しているのが現状であるが、今後EU全体の自動車リサイクルを考えた場合、ドイツの自動車リサイクルの役割は極めて重要な局面を迎えている。この解体業界の厳しさを生き残り、現在もこの業界では地域を代表する大手として知られるBettray社を視察訪問し、インタビューした内容を報告する。

<廃車事務手続き>
最初に、8枚綴りの所定の様式に、所有者情報、車情報を記載する。これらの廃車情報が郡のドイツ道路交通局などの役所に提出される。このリサイクルにしたという証明書がないと、その後の保険や役所での廃車手続きなどができないことになっている。
各車にはID番号付けられ、取り出された部品には同じID番号がふられる。各部品情報はこのID番号によりコンピューターにデータベース化され管理されており、電話での在庫問い合わせにも、迅速に対応可能である。

<廃車リサイクル行程>
 持ち込まれた車は、タイヤとホイールを取り外す。その後「液抜き」作業を行うが、重量の85%をリサイクルしなくてはいけないため、液体をいかに全て抜き取るか、この行程がリサイクルにおいて最も重要である。車の下部から各タンクに穴をあけ、エンジンオイル、変則ギアオイル、ガソリンをそれぞれ抜き取る。また車の上部からはウォッシャー液、冷却水など、チューブやタンクに管を挿入し、各液体を抜き出す作業を行う。それぞれの抽出物は各専用パイプを通り、屋外のタンクに保管され、それぞれのリサイクル業社に引き渡される。「液抜き」にかかる時間は1台につき30分、1日の処理能力は120台とのことであった。
 液体を抜き出した車体は、中古部品として利用できるものを取り出し、それら以外の部品を含めた車体は広大な駐車場にしばらく放置される。顧客がこの時点で放置された車を見に来て、必要な部品があれば値段交渉し購入していく。誰も買い取らなかった車体は、エンジンとラジエーターを取り外し、平らにつぶして鉄のスクラップ業社に引き渡される。取り外したエンジンはアルミの含有量により分類され、エンジン専用の溶解リサイクル業者に引き渡される。アルミの含有量が多いとそれだけ高く引き取られるという。ラジエーターも同じく専用リサイクル業社に引き渡される。
 それぞれの行程で取り出された中古部品は、中古部品倉庫に展示されている。各部品には車にふられたID番号が記されており、部品別に整然と並べられている。現在3ヶ月の保証期間をつけて販売しているが、今後はEUの規定により、1年の保証期間をつけて販売しなくてはいけなくなるという。ここから部品を買っていく客は、個人客、貸し工場、修理工、車販売代理店、外国輸出業社など様々である。外国への輸出先としては、東欧、アフリカ、レバノン、ベイルートなどが主である。
 
<廃車収集>
通常、新車購入後の保証期間中は修理に中古部品を使うことはなく、購入後3〜5年経ったものから、経済性を考えて中古部品を使用するようになる。そのため、解体業者は早い時期に廃車となった車、すなわち事故車を集めなくてはならない。当社は大型自動車輸送車を所有し、専用の運転手をかかえており、事故車があると聞きつけると、すぐさまかなり遠方までとりに行っているとのことであった。本輸送車の走行距離は年間15万キロということから、かなり広範囲に渡り事故車回収にあたっていることが分かる。事故車の情報は、保険会社、地方自治体、車ディーラーなど、日頃築いているネットワークから入ってくるとのことである。
 他にも、BMW、VWなどディーラーの認定解体業者としての契約を結んでおり、さらに日本ディーラー共同のドイツにおける廃車リサイクル推進回収ネットワーク(MARI‐Multi Manufacturers Automobile Recycling Initiative‐)から、日本車の解体を受ける資格も受けているとのことで、これら業者から解体依頼もくる。また、個人で車を持ち込む者もあるとのことであった。なお、車は無料でひきとり処理しており、役所への提出書類作成については実費を所有者から徴収するのみである。 

<まとめ>
現在苦戦している解体業界の中、行政からの補助金などまったくない状態で、当社は年間100万ユーロの売上を上げており、大手として非常に健闘している。今後自動車リサイクルに対しての規制は厳しくなり、2007年より、車体重量の95%をリサイクルしなくてはならなくなる。当社としては、現在はスクラップにしているガラス、プラスチック部品、シート、バンパーなどを取り外してリサイクルする行程を新たに組み入れる計画である。このように時代の変化に機敏に対応し、また他産業とのネットワークをもち情報を広く収集していること、またドイツにとどまらず、世界に広く部品の販売ルートを確立していることが当社の成功の要因ではないかと思われる。地域に密着し情報ネットワークを確立し、しかも世界と広く取引を行う本社の経営姿勢から学ぶところは多いのではないだろうか。
なお、日本の先進的な事例としては、三井物産(株)、新日本製鐵(株)などの大手が共同出資している「西日本オートリサイクル(株)」がある(北九州エコタウン内) 。

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2003年1月31日
志水佐栄子、橋口昌道